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導入事例 #1:中西金属工業㍿

​社員インタビュー

タスクフォース

苦悩の10ヶ月

230名製造業​

​ティール組織化

への挑戦

​代表者

設立

資本金

従業員数

事業内容​

​中西 竜雄

1941年6月19日

25億1,250円

​3,500名

​※ティール組織導入範囲は230名の事業体

軸受事業, 輸送機事業, 特機事業 他

※ティール組織の導入は、国内に在籍する輸送機事業部メンバーのみ

中西金属工業株式会社(以下、NKC) 輸送機事業部は、須田をコーチとした「すごい会議」を2019年から導入。
その後、須田をアドバイザリーに迎え、「ティール組織」の考え方をもとにした組織改革を行うため準備を進めてきました。いよいよ本日9月1日、権限委譲式=今まで組織階層上部の者のみが持っていた意思決定権限をメンバー約230名に委譲する宣言を行う式 ののち、社内の職制を撤廃し、社員全員が経営者と同じ裁量と責任を有する「フラット」な組織 かつ 「管理職」を撤廃し、各社員が自身の役割に応じて自主的に運営する組織へと移行しました。本インタビューでは、権限委譲式直後に行われたものです。

Interviewee:タスクフォースチーム

松永 健一/企画部 戦略推進チーム チーム長

谷敷 拓磨/企画部 管理グループ チーム長
光川 竜右/物流推進室 室長
近江 佳代子/営業部 営業企画 グループ長
坂本 俊成/技術部 技術管理グループ チーム長

​※全員 輸送機事業部所属、ティール組織化前の肩書き

​中西社長とタスクフォースメンバーの雑談風景

みなさんは「ティール組織タスクフォース(特定の課題を達成するために一時的に設置される組織)」として選抜されたメンバーと伺いました。どのようにして集まったメンバーなのですか?

松永さん:
「ティール組織」の考え方を取り入れた新しい組織体制および人事制度を輸送機事業部に導入することが決まったのが、2019年11月頃。そのタイミングで、タスクフォースを結成することが決まり、人事が選出したのが我々でした。
そうしてタスクフォース結成後のある日、「ティール組織」の書籍がドーンと置かれていて、まずは読んでくれ、と。そこから我々の挑戦が始まりました。

坂本さん:
私は労働組合代表として、初期タスクフォースメンバーに遅れて、3ヵ月後にメンバーとなりました。
労働組合としても「ティール組織」の理解をして、労使の調整をしなければいけないという話が出たためです。
特に、給与体系の変更については、とてもセンシティブなもので、中西金属工業 労働組合連合(NKC労連)からも、今後の交渉や方針について質問を受けていたので、みなさんの総意にそうような形になればと参加しました。

 

この後、じっくり「ティール組織」導入についてお伺いしていきたいのですが、まずはタスクフォースメンバーから見て、そもそも NKC がどんな組織だったのか教えてください。

みんな一斉に:
レッドとアンバーの間?
アンバーとオレンジの間くらいですかね?
ガヤガヤ...

 

発達段階でいうと比較的初期の段階に近い印象だったのですね!

松永さん:
そうですね。
多くの企業がそうであるように、今までの NKC は中西社長または各事業部の幹部が意思決定し、それに従っていました。ただし、厳格にそうしたかった訳ではなく、NKC は1941年創業、今年96年目を迎える企業であり、事業内容も製造業がメインで危険な現場もありますし、どちらかというと軍隊っぽい方が、時代にも、業種にも合っていたのだと思うんですよね。

 

しかし、いま思えば主体的に動ける人が多く、普段から時々 “ティールっぽい” シチュエーションを感じることもありました。なので、輸送機事業部が「ティール組織」の概念を取り入れた組織運営をしていくことに違和感は感じません。
たまに瞬間的にレッドやオレンジ的な雰囲気を感じることもありますが(笑)、ティールも内包して発達してきたものなので、それでもいいんじゃないかな?と考えています。

 

坂本さん:
僕的には、今までグリーンに近い組織だと感じていました。
と言うのも、僕の役割はIT関連で、ここ数年は現場の意見を取り入れ、自由に業務改善の提案を行ってきました。その際、ほぼ却下されることがなかったからですね。

労働組合代表としてタスクフォースに加わった坂本さん

谷敷さん:
まあでも、給与体系は完全に年功序列により決められていましたね!

 

光川さん:
例えば、役職者のポジションは、相応の年齢基準から選ばれることがあったと思います。

 

松永さん:
入社年月と経験年数がほぼ一緒なので、そのポジションを埋めるためにわかりやすい基準は、それだったんですよね。

 

そんなみなさんにとって「ティール組織」という概念自体、比較的新しい概念 かつ 馴染みがなかったものだと思います。初めて導入を聞いた時、どのように思いましたか?

松永さん:
私にとっては「なんじゃこりゃ?!」でした。
全く新しい組織の概念だったので、まずは本を読んで理解するところからでした。
...と言っても、一度半分ほど読んで挫折したんですが(笑)  

 

近江さん:
私は、導入が決まる前から「ティール組織」の概念自体は知っていました。
ただ、元々めちゃくちゃ動きの早い中西社長とはいえ、「そうきたか!」と驚きましたね。

 

光川さん:
私が一番最初に導入を聞いたのは2019年10月。
最初は僕が所属する13人の部署に “だけ” 導入すると聞いていたので、翌11月にはめちゃくちゃ必死で「ティール組織」の書籍を読み漁りました。そうしていざ指針が発表されてみると、国内に在籍する輸送機事業部 約230名 で導入するとのこと。大規模になったことに驚きつつも、それやったら先にそう言ってや〜!と思いながらも、少しほっとしていました(笑)

 

いざ自分の所属する組織に導入するとなると、戸惑いますよね。

ましてや、レッド・アンバー・オレンジ的な組織を感じていたのでなれば尚更!

松永さん:
そうですね。
もちろん理解のために努力するんですが、それにしても概念自体が難しく、わからないことが多かったので、ネットのまとめ記事を読んだり、須田さんにタスクフォースの MTG に入っていただきながら、みんなで

 

「中西金属工業・輸送機事業部の存在目的(エボリューショナリーパーパス)は何なのか?」
「それを目指すために、どんな組織にしていきたいのか?」
「そのために何を決めなければならないのか」

 

相談しながら進めることが大切だと思って、行動していました。

松永さん「書籍がドーンと用意されていて、読んでくださいと言われたときには、びっくりしました。」

導入のために須田さんはどんな役割を果たしたのですか?

谷敷さん:
まず、前提として須田さんは「ティール組織」の概念を元フリープラスで実際に会社経営されていた経験があるんですよね。なので、まずはその時に実践していた組織運営方法をシェアしていただきました。

 

*須田は2007年に株式会社フリープラスを創業し、2019年より「ティール組織」の概念を組織運営に適用。130名規模でのティール組織形態の導入は、日本でも稀にみる規模だった。フリープラスは 訪日旅行事業, 宿泊事業, 地方創生事業 と展開し、世界40カ国と取引する売上高50億円, 20国籍以上から成る総メンバー350名の企業に成長させ、2020年2月まで代表を務めた。
 

例えば、社員全員が経営者と同じ裁量権と責任を有するフラットな組織として運営するための「助言プロセス」。

上司という概念がなくなっても人間関係に課題を抱えたメンバー通しが、まずは自らで問題解決するための「紛争解決プロセス」。

自社がより良くなる機会を考えなかったり、自社で起きている問題を放置することは責任を他人に転嫁することとど同義であることを示す「自己責任100%」という、ティール組織の概念で組織運営するための、最低限の約束事項などを教わりました。

谷敷さん「概念はわかった。でもどう実践するのか?が一番難しい」

そして、それらをどう定着させようとしていたのか、実際に学ぶために、フリープラスさんの “新人研修” も受講させていただきました。

書籍を読んだ段階で、頭では理解できるようになったとしても、どうしても疑問に感じていた「どのように NKC に落とし込むのか?」という点が徐々にクリアになり、須田さんの経験シェアやアドバイザリーはとても役に立ちましたね。
 

なるほど、実際に「ティール組織」として組織運営されていた経験を基にアドバイスがあったのですね。とはいえ、NKC とフリープラスでは事業規模も異なれば、人数も異なりますよね。その点では、悩んだこともあったのではないでしょうか?

近江さん:
まさにその通りです。
タスクフォースの中でも、NKC としてはどういう方針で「ティール組織」の概念を取り入れた運営をするのがいいのか、意見が割れて、議論に時間がかかることもありましたよね!

 

松永さん:
そうですね。
例えば、「ティール組織」の概念導入にあたり、全ての意思決定権限をメンバーが持つことになりました。
これは、何でも自由に意思決定できるという意味ではなく、組織にとってより良い意思決定ができるよう “助言プロセス” を経る = 意思決定をしようとする場合には、その分野の専門家や関係者に対し、意思決定しようとしている内容・コストやリスク・効果を共有した上で助言を経て、意思決定する、という約束事項です。

坂本さん「初めての給料の自己決定プロセスは今週初めて行われます。みんながいくらで希望金額を出すのか楽しみです。」

給料についても、社員間の相互評価を基に自身で自己決定する「給料自己決定方式」を採用しました。

ただ... 我々輸送機事業部の人件費だけでも2桁億円ですし、売上規模も数百億円の事業なので、それだけのお金が動くビジネスで、急にいちメンバーが「助言プロセスを経た上で、あなたが意思決定できます!」「お給料は自分で決めてください」とか言われても、びっくりしちゃいますよね。
なので、230名のメンバーでどのように運用したらうまくいくのか?どういう仕組みが必要なのか?という点について、とても悩みました。

 

組織が大きい分だけ、悩むのは理解ができます。ましてやその規模たるや....!

光川さん:
はい、タスクフォースの中でも、その影響力の大きさは理解されていたので、どのような指針で運営するのか、僕らだけの考えでまとめていいのか?誰が意思決定するのか?という遠慮もあって、意見は出るのに、誰も意思決定する人がいない!という時もありました。

光川さん「僕は須田さんを尊敬してます。初めてお会いしたときに、会議室にチーッス!とは言ってきたときは驚きましたけどね(笑)

松永さん:
そんな時に、須田さんがいてくれて助かりましたよね。
何事にもハッキリとジャッジする方なので、我々タスクフォースがモヤモヤ悩んでいる時、意思決定を先延ばしにしている時にも、「このままでは前に進めないので、いつまでに、どうするのか決めましょう」「タスクフォース内で悩むなら、中西社長(ティール組織導入前の意思決定者)に意思決定してもらいましょう」など、的確なアドバイスをくださったと思います。

近江さん:
そうして須田さんのアドバイスによって中西社長に聞いてみれば、いつも社長の回答は一貫してましたよね。
中途半端に権限移譲するなど「ティール組織まがい」のことをするのではなく、ちゃんと「ティール組織」をやりたいと。

 

谷敷さん:
たしかに。一時、タスクフォース内では意思決定権限に制限を設けようかという話もあったんですが、社長は全部、メンバーが意思決定権限を持ったらいいよって言い切ってましたね!

中西社長がご自身の権限を手放すことを心配するのではなく、逆にタスクフォースのメンバーが心配になっちゃった!ということですね(笑) 

一同:
はい(笑)


その意味では、やはりみなさんは社長に気を使うところや忖度するところなどはあったのですか?光川さん:

光川さん:
ありましたね。
いままでは、みんなが感じていたように レッド・アンバー・オレンジ的な組織形態でトップダウンだったこともあり、忖度はたくさんあったと思います。
そんな中で、須田さんは「忖度なく、短い人生をしっかり使いなさい」と指導してくれたり、「自己責任100%」の考え方を教えてくれたり、こんなに若いうちからガンガンやっている*須田さんみたいな人がいるんだから、僕も見習わないと!とものすごく刺激を受けました。

 

*須田は1986年生まれの、35歳(2020年時点)
 

近江さん:
忖度によって、NKC がよりよくなる可能性ある気づきを発信しなかったり、起きている問題を放置することは、私たちの大事にする「自己責任100%」に反しますもんね。

 

光川さん:
須田さんご自身の発達段階が、ティール的段階(統合的段階)に近いのかもしれないと感じています。


...と言うことは、須田さんご自身が、ティール組織の中の人としてのあり方を示してくれていると言うことでしょうか?

光川さん:
そうですね、そう思います。
本当に忖度なく、ストレートに物事を言ってくれて「なんでそんなにストレートに言うのか?」と聞くと、「だって言わなかったら、よくならないじゃないですか」と。全ての須田さんの発言は、特定の誰かに対してではなく、会社のあり方に対してなんですよね。

 

松永さん:
須田さんの行動は、全て、組織(NKC)をよりよくするためのものなんですよね。
一個人の感情や私利私欲がどうこうじゃなく、会社が良くなるのか?という観点で発言している姿を見ると、これがティール組織として求められているメンバーのあり方なんだろうな、と本当に勉強になります。

近江さん:
須田さんは裏表が全くなくて、須田さんご自身から「全体性(ホールネス)」を感じます。ブレなさすぎて、関わる時間が長くなるうちに、多分須田さんならこう行動するだろうな、この疑問にはこう答えるだろうな、と言うのがだんだんわかってきました。それほどにブレません。
あとは、レスポンスもめちゃくちゃ早いですし、いつでも真摯に向き合ってくれますね。

近江さん「須田さんならこう言うんだろうな〜と、想像できるんですよね。

それでは最後に、「ティール組織」の考え方を導入しての組織運用を検討の企業・経営者に、皆さんからコメントをお願いします。

松永さん:
「ホンマにすんの?よう考えてや!」と言いますね(笑) 
ティール組織の概念が合う企業、合わない企業は、確実にあると思うんです。我々は幸い、社長も柔軟な考え方ですし、導入するとなったらポジティブに取り組める会社でしたし、おそらく移行しやすい環境でした。
でも一方で、そのような会社ばかりではないと思います。なのでよくよく「自社の存在目的とは?」「そのためにどんな組織運営をしていくのがいいのか?」と考えを巡らせるのがいいと思います。
我々の場合、その答えが「ティール組織」の概念を取り入れることであり、ご自身としても導入経験を持ち、統合的段階(ティール組織のもととなったインテグラル理論で言うティール的段階)を体現されている、須田さんにアドバイザリーとして入っていただくことでした。

谷敷さん:
私は「ティール組織」に興味がある会社は、ぜひやってみたらいいんじゃないかなと思います。

僕は、メンバーの幸せを考える組織=「ティール組織」だと思っているので、単純に権限移譲して、フラットな組織にしただけではメンバーは幸せになれないですし、組織の存在目的の追求にもなりません。今後、「ティール組織」の概念を取り入れて運用していきたいと考える組織の経営者は、すでにメンバーの幸せを大切に考えているとは思いますが、単純に権限付与するだけではなく、色々な工夫をしながらチャレンジしてみたらいいと思いますね。

光川さん:
僕は、時代背景的にも、導入できる企業は「ティール組織」の概念を導入してみた方がいいと思っています。

そんな中、組織運用に取り入れようとしている人たちに敢えて僕の考えをお伝えするならば、まずは経営者自身が幸せであること、経営者に心の余裕があることが大切だと思っています。「ティール組織」の概念を取り入れることは、経営者にとって大きなリスクにもなり得ます。メンバーを信頼して意思決定権限を付与すると言うことは、最悪の場合、お金の使い方がめちゃくちゃになって、経営がうまくいかなくなり、借金を抱えて、人生路頭に迷う可能性もあるからです。
それでも、組織のメンバーを信頼して、一緒に存在目的の追求を目指すのであれば、まずは強力なタスクフォースを集めるところからが、役目だと思います。

 

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松永さん:
私たちもまだ今日「ティール組織」の概念を導入したばかりで、自主経営を始めるからこその悩みや、フラットになったからこそぶつかること、メンバーの組織への想いの濃淡もあると思います。

それらを解決するきっかけが、私たちタスクフォースにとっての須田さんだったように、次は私たちタスクフォースのメンバーなのかなと。
 

近江さん:
まさに私もそこだと思います!
問題と思った人がパッと動ける組織となれるよう、私は期待しています。
そして、そのマインドセットを継続できるように、タスクフォースとして行動していきます!

新たな組織フェーズで、中西金属工業 輸送機事業部のみなさんが活躍されることを応援しております!

本日はありがとうございました!

左から 谷敷さん / 坂本さん / 近江さん / 中西社長 / 松永さん / 光川さん


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